思わぬ事件を起こさないためのメール&SNS対策
メールやSNSにどう対策すればいい?
従業員の自覚を高めることが第一
現在、電子メールは業務の効率化に欠かせません。ですが、一方で企業秘密やデータの漏えいの危険性もあり、従業員の私的利用という問題も生じさせてしまう恐れもあります。さらには、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディア(SNS)へ従業員が軽い気持ちで書き込んだ発言や愚痴が思わぬ形で拡散して企業秘密の漏えいにつながったり、会社の評判を落としてしまったりして、大きな損害へとつながることもあります。
こうした状況をふまえ、会社としても対策をしておく必要があります。
電子メールの私的利用を禁止する
従業員の自覚を高めることが第一
多くの企業では、業務上、従業員に個々の電子メールアドレスを付与しています。従業員が業務以外、私用で利用するなどの問題行動が疑われる場合、会社は個々の従業員の電子メールを閲覧することができます。
とはいえ、閲覧される従業員のプライバシーについての理解をおざなりにすると、逆に従業員からの損害賠償請求という形で訴えられるというケースもあります。これまでの裁判例を見ると、従業員の使う電子メールの閲覧が、常識的(社会通念上相当)な範囲を逸脱した監視となることが多く、プライバシーの侵害になると判断されているのです。
このため、このような事態に陥る前に、会社としては未然に防ぐ手立てを講じておく必要があります。まずは、就業規則において電子メールの私的利用を禁止する規定を設けることです。
その上で必要であれば会社側で電子メールの閲覧を可能とする旨の情報機器利用規程を設けておくことです。従業員に対して会社側が閲覧する可能性があることを周知しておきましょう。
SNSについての対策は?
規制が難しいSNSにはどう対処すればいい?
フェイスブックやツイッター、ブログなどのソーシャルメディア(SNS)の問題は電子メールの問題と違い、企業秘密の漏えい以外に、従業員が軽い気持ちで書き込んだ上司や取引先に対する愚痴や悪口が瞬く間にネット上に拡散し、結果として会社に有形無形の損害を与えてしまう危険があることです。
そして、ソーシャルメディア(SNS)の利用は従業員が勤務先および就業時間を離れたところで行われることが圧倒的に多いため、規制をしたり制限をしたりすることもできず、その対策は難しいとされています。
就業規則や誓約書で対策を
対策としてはまず、ソーシャルメディア(SNS)の利用についても企業秘密に関する秘密保持の条項を就業規則に盛り込むことです。このほか、ソーシャルメディア(SNS)を利用する際の注意事項を盛り込んだ誓約書を取り交わすということも検討してみましょう。どちらも従業員の利用に対する自覚を促し、適切に利用してもらうことを目的としたものです。
さらに、多くの就業規則に記載されているように、体面汚損条項の記載にしたがってソーシャルメディア(SNS)の利用によっても懲戒処分の対象とすることを従業員に周知徹底しておくことも重要です。
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会社が受ける被害についての対面汚損条項とは?
トラブルの予防や対応には弁護士の力が不可欠
体面汚損条項とは、従業員の行動によって会社が社会的信用を著しく落とした場合、また、その行動の結果、取引先から契約を打ち切られたなどの被害を受けた場合、従業員を懲戒処分の対象とすることを盛り込んだ条項です。ただし、社会的信用などは実際に目に見えず、数値に表せないものなので簡単には認められることが少ないのも実情です。このようなケースでは裁判となれば会社側は不利になりやすいことも理解しておきましょう。
ここまでに見てきたように、昨今ではニュースでもよく話題になるSNSを通じた企業のトラブルは、よほどの法的な理解や専門性がない限りなかなか最善の対策を立てることが難しいもの。雇用規則などのルールづくりや社員教育など、専門家である弁護士の力を借りるのが得策です。
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