社員とのトラブルを予防するための残業対策とは?
どんな残業対策をすればいいの?
残業代未払や残業による従業員の過労に注意しよう
日本では、労働者の残業(所定時間外の労働)について労働基準法で規制があります。下記の通り、残業については細かい規制があり、その時間帯や日数によって賃金に加算される割合が異なります。
残業規制について
時間外労働について | [1]25%以上の割増賃金支払が必要。 [2]さらに月に60時間を超えた場合は60時間を超えた部分について50%以上の割増が必要(中小企業については適用猶予あり)。 |
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深夜労働について | 25%以上の割増賃金支払が必要。 |
休日労働について | 35%以上の割増賃金支払が必要。 |
この結果として割増は加算されて… | |
時間外労働+深夜労働 | 50%以上の割増賃金支払が必要。 |
休日労働+深夜労働 | 60%以上の割増賃金支払が必要。 |
もし残業代を支払わなかったら?
賃金不払いで労働基準法違反になる
労働者が所定労働時間外に業務に従事しているにも関わらず、その賃金、残業代を未払い、不払いとしている場合、従業員は残業代を過去2年分遡って請求することができます。そうなれば、前述の通り、残業代は契約賃金に対してさらに加算されるので、その期間や人数が多いほど、高額の支払いを余儀なくされます。
労働基準法により、時間外労働や休日労働の割増賃金の不払いについては6ヵ月以下の懲役、30万円以下の罰金という刑事罰が科せられることになるのです。
たとえ雇用契約で裁量労働制、つまり、専門性の高い職種などで労働時間の長さでなく労働の質や成果によって評価をする契約をしていたとしても、安心できることではありません。その制度について日頃の運用を厳格にしていなければ、裁判では会社側の残業代未払いと認定されてしまう可能性もあるのです。業務委託や残業の事前許可制を採用していたとしても同様です。
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残業問題とどのように向かえばいい?
まずは就業時間外の業務を禁止に
後々従業員から高額な残業代の請求を受けないためにも、まずは就業時間、つまり所定労働時間を超えて業務に携わることをきちんと禁止するべきでしょう。例えば「特別の理由なしに、午後7時以降の残業を禁止する」などのはっきりとした規則を設けることも必要です。
会社が従業員の残業を黙認しているような体制であれば、後に従業員から残業代の請求があったとしても、それを断ることができないのです。
基本給と別に定額の残業代を決めておく
とはいえ、業務によっては残業を避けられない状況もあるでしょう。このような場合、基本給とは別に定額の残業代を導入するというのも検討するのも対策方法の一つです。多額の残業代を支払うというリスクをある程度減らすことにつながります。
逆に、就業時間中に従業員がさぼっているような状況があるようなら、就業時間とそれ以外の時間を区別できるよう、休憩時間などを設けることも検討してみます。就業時間中は仕事に専念するという職場の空気を作り出すためです。
労働時間の管理に努める
また、最近では精神疾患等による労災申請数が急激しています。脳疾患や心臓疾患による過労死、精神障害による過労自殺は減ることはありません。こうした従業員の疾患や障害については、その要因として過重労働や残業が背景にあると考えられているため、残業は法的に問題となる場合があります。
労働基準法違法と評価される残業を行った場合、従業員の死と業務との因果関係の認定に大きく関わってきます。使用者である会社は従業員に対して安全配慮義務というものがあるので、適正な労働時間とその管理に努めなければなりません。
以下に過労死に関する労災認定基準を記します。こちらの目安にも、残業時間との関連性が強いと記されています。こうしたことからも残業時間は徹底して管理しておくことが大切。過労死などの思わぬ労務トラブルは中小企業にとって大きなダメージとなりますので、従業員の勤務体制のチェックは、普段から弁護士などの専門家に依頼しておくことが重要です。
過労死に関する労災認定基準(目安)
脳・心臓疾患発症前1ヵ月間に概ね100時間を超える時間外労働が認められる場合。
発症前2ヵ月ないし6ヵ月間にわたって1ヵ月あたり概ね80時間を超える時間外労働
が認められる場合には業務と発症との間の関連性が強い。
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