民事再生手続きはどのような流れで進む?
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まずは民事再生手続きの特徴を知ろう
民事再生手続きと破産手続きの違いとは?
民事再生では、手続きの開始後も、原則として会社の経営陣が財産の管理と業務の遂行を継続します。この点が民事再生の大きな特徴です。
対して、破産手続きでは、事案ごとに破産管財人が選任され、手続き開始後の財産管理はすべてこの破産管財人が行います。この点が民事再生とは大きく異なります。
この重要なポイントをおさえたうえで、ここでは民事再生のプロセスを説明します。簡単に言うと、民事再生手続きは以下の図のような流れに沿って行われます。
民事再生手続きの手順とは?
タイミングが遅れると適用されない場合も…
民事再生手続きでは、まず、民事再生の適用を求める会社が、裁判所への申し立てを行います。もちろん、民事再生を申し立てる前には、弁護士のサポートにより、民事再生適用の可能性についての判断が必要となります。弁護士は依頼先企業の財務書類を調べ、経営状況や借入状況チェックしたうえで民事再生を適用できるかどうかを見極めます。
しかし、再生計画が提出されても、お金を借りている銀行や取引先企業など債権者に認可されなかったり、裁判所に民事再生が不可能と判断された場合、会社には破産の道しか残されていません。ですから、会社に余力がなくなってしまう前に弁護士に相談し、民事再生を検討することが非常に大切になるのです。また、申し立ての際には、裁判所に費用を予納するなど、必要な費用が生じるので注意が必要です。
民事再生の申し立ての後の手続きの流れ
必要な資料を提出し、再生計画を立案
申し立ての次は、事業者の財産に対する保全処分や民事再生手続きを監督する監督委員(弁護士)の選任が行われます。その後、裁判所によって再生手続きの開始決定が下され、民事再生計画が動き始めることとなります。
さらに債権の提出、財産評定書や報告書の提出などが求められ、次に最も重要な再生計画案を提出します。再生計画案には、借金の具体的な返済方法や返済年数、あるいは返済カットを求める金額や理由、さらには人員削減や資産の売却といった会社のリストラ計画などが具体的に盛り込まれます。
債権者と裁判所から認可を受け、再生計画の実行へ
その後、債権者集会で再生計画案についての決議が執り行われ、債権者である銀行や企業などから認可を得る必要があります。債権者の賛同が決まれば、いよいよ裁判所による再生計画案の認可・決定が下され、ついに再生計画が実行に移ります。
民事再生の申し立てから再生計画の実行までは約6ヶ月
民事再生の申し立てから、再生計画が実施され終結するまでは、通常約6ヶ月を要します。途中、数回の打ち合わせや書類の提出など細かな作業も必要になりますが、ここからは重要なポイントのみを詳しく解説していきます。
まずは保全処分で債権者間の公平性を確保
申立権者(事業者など)が民事再生の申し立てを行い、裁判所がその申し立てを認めることを開始決定といいます。申し立てから開始決定までは、通常、1〜2週間ほどかかります。
この1〜2週間の間に、申し立てを行った会社の取引先企業が借金の回収に不安を抱き、他の取引先に先んじて自分だけに支払いを求めることがないように行われる手続きが、保全処分と呼ばれます。つまり、保全処分は各取引先への支払いの公平性を保つために存在する手続きとなります。
民事再生の保全処分にはいくつかの種類がある
より強力な中止命令・取消命令も
保全処分にはいくつかの種類があり、強力な方法として中止命令・取消命令があります。これは、お金を貸している債権者が個別に行った仮差押や競売などの強制執行について、中止や取消命令を裁判所が下すことができる制度です。債権者が個別に倒産企業の財産を差押さえたり、価値のある財産を競売などにかけて現金を得たりすることで、各債権者の間で不公平が生じることを防止するのが目的です。
さらに強力な処分としては、債権者の権利行使をいっさい禁止する包括的禁止命令という処分も存在します。民事再生では、複数の債権者間の公平と中立が厳しく保たれるようになっているわけです。
民事再生の開始決定に必要な3つの条件とは?
きちんと法律に準じた民事再生の申し立てをしよう!
裁判所に民事再生の開始決定をしてもらうためには、第1に、「債務者に手続開始原因があること」。第2に、「申立権者による適法な申し立てであること」。そして第3に、「申し立ての棄却事由が存在しないこと」という、3つの条件をクリアする必要があります。
民事再生の知識・経験が豊富な弁護士がいれば、開始決定までスムーズに
とはいえ、自社のケースがこれらの条件を満たすどうかを、経営者本人が判断するのはなかなか難しいもの。そこで、企業の再建・民事再生に詳しい専門の弁護士に相談し、手続きを代行してもらいましょう。民事再生申し立ての知識と経験が豊富な弁護士であれば、裁判所の開始決定が出やすい申請書類の作成をはじめ、手続きをスムーズに導いてくれるはずです。
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