雇用対策法および派遣法による規制~知っていますか? 人材募集のルール~
雇用対策法と派遣法の留意点
年齢による差別や派遣期間にも留意が必要
実は、雇用対策法では募集条件において「何歳以上何歳以下」というような年齢による制限を差別として禁止しています。また、派遣法では派遣労働者の派遣期間についての規制があります。派遣期間を超えて業務を続けてもらいたい場合は、派遣期間が過ぎる前の定められた時期までに雇用契約の申し込みをしなければならないというものです。
雇用対策法による、年齢差別の禁止
根拠のない年齢制限は認められない?
雇用対策法では労働者の募集、採用にあたって年齢による差別を禁止することが原則として事業主に義務づけられています。これは年齢にかかわりなく均等な雇用機会を設けることを目的としたものです。
たとえば「20~35歳以上の方を募集」と募集条件に記載することは禁止されています。
つまり、年齢の上限下限について根拠のない基準は認められないということです。けれども、労働基準法などで18歳以上の年齢でなければその業務に就くことができないなどの規定があれば「18歳以上」とし、60歳が定年と規定されている企業であれば「60歳未満(定年は60歳)」と明示することは可能です。
また、雇用対策法に基づいて発せられている「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、概ね35歳未満の青少年の雇用状況を改善するための措置として、事業主に対して採用基準の明確化、応募資格の既卒者への開放(卒業後少なくとも3年までの新卒者として扱うことを含む)、通年採用の導入、実践的な職業能力の開発推進等の努力義務を課しています。
年齢制限には例外もある
とはいえ、年齢を記載した募集条件がすべて禁止されているわけではありません。業務により法律で従事できる年齢があるものや、資格取得のための実務経験なども年齢がかかわってきます。このため、必要な条件として年齢を示した募集をすることもできるのです。
例えば、労働基準法等法令の規定で年齢制限が設けられている場合は「18歳以上の方を募集(労働基準法の危険有害業務)」と記載することができます。
このほか、中高年雇用対策に対応した募集では年齢の上限を上げるよう努力義務もありますが、既卒者等若者の長期育成などを目的とした採用項目では、それと分かる内容を添えて若者に限って募集することができます。
こちらは長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合で、これについては対象者の職業経験について不問とし、新規学卒者以外でも新規学卒者と同等の処遇(教育等)を受けるというものです。
「35歳未満の方を募集(職務経験不問)」「40歳未満の方を募集(簿記2級以上)」などはこの長期勤続によるキャリア形成を図る若者等の採用に該当すれば、記載する項目です。ここでも「20~35歳の方を募集」というように下限年齢をつけることは規制に反することになりますので、人材募集の際には注意が必要です。
派遣法によるさまざまな義務
年齢による差別や派遣期間にも留意が必要
事業主は派遣労働者との間に直接の雇用関係はありません。とはいえ、派遣法により派遣労働者に対するさまざまな義務があることを知っておきましょう。その一つに雇用契約の申し込み義務があります。
派遣労働者は一部の専門業務以外は派遣期間に制限があります。同一部署で同じ業務に携わる場合、原則1年、最長3年と規定されています。このため、派遣先である事業主は1年を超えて継続して派遣を利用する場合、あらかじめ3年までの間で期間を決めておく必要があります。そして、派遣期間の制限に抵触する日以降、つまり派遣期間が終了する翌日からの雇用について、雇用契約締結の申し込みをしなければならないことが義務づけられているのです。
派遣労働者は1事業所で勤務年数を重ねたいのか、あるいは数多くの事業所でキャリアを重ねたいのかその思いはさまざまでしょう。こうした派遣労働者の意向をふまえるためにも、派遣会社は派遣労働者に対し、派遣契約を結ぶ際に派遣先における抵触日がいつになるかを知らせる必要があります。
なかには派遣期間に制限のない業務もある?
専門知識や技術・経験を要する26の業務が対象外
一方、派遣期間に制限のない業務は26あり、派遣法で「専門的な知識、技術または経験を必要とする業務」または「特別の雇用管理が必要であると認められる業務」と定められています。ソフトウエア開発、機械設計、秘書などがあります。これらの職種でも事業所ごとに同一の業務に3年を超える期間、同じ派遣労働者を継続して雇用しようとする場合、その派遣労働者に対して雇用契約の申し込みをする義務があります。
派遣期間に制限がないからといっても、派遣先の事業主は雇用期間や雇用継続を検討し、派遣期間が終了する前に雇用契約についての申し込みをする義務があることを忘れてはいけません。
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