2ch削除依頼|書き込みを削除したい!書き込んだ犯人を特定する方法
2ちゃんねるは2014年に分裂して以来、誹謗中傷や風評被害に関する書き込みを発見したときにどのように対応すれば良いのかわかりにくくなっています。そこで、「2ch.sc」 「2ch.net」「コピーサイト」の3つの場合に分け、それぞれのサイトについて削除依頼や発信者情報開示請求をどのようにすればよいのか見ていきましょう。
「2ちゃんねる」には3種類のサイトがある
日本国内でもっとも人権侵害に関する書き込みが多いのが、インターネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」です。京都府が2013年度に実施した調査によると、1ヶ月に17万4,799件の人権侵害、差別助長に関する書き込みが検出され、そのうち、掲示板での不適切投稿の85%が「2ちゃんねる」にあったと言います。
2ちゃんねるの3種類のサイトはどう違う?
2ちゃんねるは大きく分けて2ch.sc・2ch.net・コピーサイトの3種類あり、それぞれ削除依頼方法が異なります。
2ch.netとは
2ch.netとは西村博之氏が1999年に立ち上げた電子掲示板のことを言います。2014年にサイト運営をめぐる争いがあったため西村氏はこちらのサイトの管理からは離れることとなりました。現在はフィリピン法人Race Queen Inc.が管理・運営を行っています。
2ch.scとは
2ch.scとは、2ch.netの運営をめぐる争いの後に2014年に西村氏が新たに設立した掲示板です。基本的に「.net」に投稿された記事がそのままコピーされていますが、「2ch.sc」独自で投稿も受け付けています。こちらの運営主体はPACKET MONSTER INC.PTE.LTD.です。
コピーサイトとは
2ちゃんねるは閲覧需要が高く、書かれている情報には価値があると考えられており、そこから広告収入を得ようと多くのコピーサイトが乱立しています。また、特定のジャンルに絞って情報をコピーしている「まとめサイト」と呼ばれるサイトも数多く立ち上がっています。
コピーサイトの削除依頼方法とは
まずは「2ちゃんねる」のコピーサイトに書かれた情報を削除する方法から見ていきましょう。コピーサイトは多種多様なので、削除依頼の仕方もサイトにより異なります。該当サイトの削除依頼方針などをよく読んで対応することが必要です。
コピーサイトに残った情報も削除する必要
2ちゃんねる本体に掲載された誹謗中傷や風評被害につながる情報を削除すると、コピーサイトにもそれが反映されることもあります。しかし、コピーサイトに情報が残っており、閲覧可能な状態になっているケースも多いため、コピーサイトの情報も削除してもらうことが重要となります。
コピーサイトの種類
代表的なコピーサイトとしては、ログ速、みみずん検索、しま速などがあり、そのほかにも様々なサイトが日々立ち上がっています。それぞれ削除方法や窓口が異なるため、そのサイトに指定されている方法に従って削除依頼を行うことが必要です。
発信者情報開示請求はできない
コピーサイトは、2ちゃんねるの投稿内容を反映しているにすぎません。そのため、コピーサイトに発信者情報開示請求をしても対応してもらえないので注意しましょう。
2ch.scへの削除依頼・発信者情報開示請求方法
では次に、2ch.scへの削除依頼・発信者情報開示請求方法について考えていきましょう。2ch.scの運営主体はPACKET MONSTER INC.PTE.LTD.とされていますが、事務所や営業所を持たないペーパーカンパニーであると言われています。そのため、事実上、サイトの管理・運営については「運営ボランティア」と呼ばれるスタッフにより行われています。
裁判所での仮処分を経て削除申請を行う
2ch.scは、削除や開示請求については、基本的にその前身である2ch.netの考え方を引き継いでいます。そのため、裁判所の仮処分申請などの法的な対応をする場合もすべて掲示板上でやりとりをおこなわなければならないことに留意してください。
PACKET MONSTER社の商業登記簿を取得
会計企業規制庁(ACRA)のHPからPACKET MONSTER社の資格証明書(商業登記簿)取得する必要があります。裁判所で使用するBusiness Profile with Certificate of Productionを購入しましょう。値段はで、クレジットカードで16.5シンガポールドルを支払うと、連絡先として登録したアドレスに資格証明書のPDFが届きます。
西村氏の住所地を管轄する裁判所に申し立てを行う
管轄裁判所が問題となりますが、現在の運用では西村氏が主たる業務担当者とされています。したがって、西村氏の住民票上の住所を管轄する裁判所にて仮処分の申立てを行うことになります。
無審尋での仮処分命令を行ってもらう
仮処分の申立てでは、債権者・債務者双方の意見を聞くこと(双方審尋)が原則です。しかし、債務者であるPACKET MONSTER社を呼び出すには相当な時間がかかるため、無審尋での仮処分命令を発令してもらえるよう、裁判所に依頼します。また、削除申請にあたり仮処分決定正本を債務者(PACKET MONSTER社)に送る必要はないため、その発送を遅らせるよう併せて上申します。
指定の掲示板で削除・発信者情報開示請求を行う
発信者情報開示請求をする場合は、「2ch.sc」に書き込まれたものなのか「2ch.net」に書き込まれたものなのかを判断する必要があります。投稿のID表示を見て、「.net」となっているものは2ch.netへ投稿されたものなので、発信者情報請求は「2ch.net」に対して行うことになります。なお、削除請求を行う際には特に気にする必要はありません。
削除申請・発信者情報開示請求用の掲示板にアクセス
仮処分決定に基づく申請の場合は、決定正本をPDFにしたファイルを有料サーバーにアップします。決定正本は、掲示板上で公開されてしまうため、知られたくない個人情報などをあらかじめマスキングしておきましょう。
必要事項を入力
「削除要請板」にアクセスし、削除の区分、事件番号、所属/申請者、メールアドレス、削除対象URL、以来の理由など筆王事項を入力します。発信者情報開示請求の場合は、「事務所板」にアクセスし、削除申請と同様に必要事項を入力します。
運営ボランティアに対応してもらう
削除の場合は、運営ボランティアのほうで削除が完了すると、削除以来をしたスレッドにその旨の書き込みがされます。発信者情報開示請求のとき「規制情報板」に発信者情報が開示されることになります。
2ch.netへの削除依頼・発信者情報開示請求方法
2ch.netは、2014年に管理体制が西村氏からRace Queen Inc.に移った頃から運用が変わり、裁判の仕方も大きく変化しました。
任意で削除依頼・発信者情報開示請求を行う場合
管理体制が変わった頃から、削除や開示請求についても比較的柔軟に対応するようになっています。そのため、まずはガイドラインに従い、任意で削除依頼や発信者情報開示請求をおこなうことをお勧めします。
削除依頼の場合
削除に関するガイドライン「2ちゃんねる削除体制」についての説明を読み、その内容にしたがって削除依頼メールをします。その際、「2ch.net」の場合は同定可能性が重視されるので、削除対象URLや法的な削除理由についても明確に記載することが必要です。メールには身分証や社員証のスキャンしたものを添付します。
発信者情報開示請求の場合
発信者情報開示請求窓口は公開されていないため、削除依頼のときと同じ宛先に開示請求の窓口を問い合わせるメールを送って確認します。
裁判所の仮処分決定を経て削除依頼を行う場合
「2ch.net」のガイドラインには、「犯罪に関する情報及び法人に関する情報の場合は、原則として裁判手続きによって仮処分を取得して、司法判断を待つことにする」と記載しているため、削除依頼メールを送っただけでは対応してもらえない場合があります。そこで必要となるのが裁判所への仮処分申請です。
資格証明書を取得する
「2ch.sc」のときと同様、まず資格証明書を取得します。ただし、Race Queen Inc.をはじめフィリピン法人の場合は、資格証明書の郵送に対応できるのはフィリピン国内のみとなっており、郵送で取り寄せることはできません。そのため、証明書取得代行サービスを行っている会社などに依頼するのが一般的です。
管轄裁判所の問題は?
Race Queen Inc.は日本国内に事務所を持っていない上、主たる業務担当者もいません。そこで、管轄裁判所については開示請求の場合は東京地方裁判所、削除請求の場合は債権者の住所を管轄する裁判所となります。東京23区外に住んでいる場合は、同じ裁判所に開示と削除の両方を請求することができないので注意しましょう。
フィリピンは書類のやりとりに数ヶ月かかる
フィリピンは送達条約や民訴条約に加盟しておらず、郵便物はすべてフィリピン中央当局経由で発送されるため、書類のやりとりには数ヶ月の月日を要します。そこで、開示請求の場合は双方審尋を開催せずに仮処分命令の発令を求めることが必要です。
一方、削除依頼の場合は無審尋が認められておらず双方審尋が必要となるため、申立書を英訳して裁判所に提出し、送達の手続きをします。Race Queen Inc.宛に郵送はしなくとも、削除依頼をするときのアドレスに仮処分決定正本をPDFで送ることにより、送達したとみなし削除に対応してもらえるケースがほとんどです。
2ちゃんねるは次々へとコピーサイトが作られるため、「2ch.sc」や「2ch.net」の記事だけを削除しても投稿内容がウェブのどこかに残る可能性もあります。そのため、2ちゃんねるでは誹謗中傷や風評被害につながる内容の書き込みを見つけたら、一刻も早く削除することが必要です。どうすればよいかわからない場合は、2ちゃんねるへの対応実績が多くある弁護士に相談の上、対応することがおすすめです。
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