知的財産権侵害への対処法とは?

知的財産権侵害への対処

まずは権利の侵害をしない・させないための対策を

権利の侵害をしない・させないことがビジネス上の重要な課題

知的財産をビジネスで活用する際には、権利の侵害をしない、またはさせないことが重要です。他者の権利を侵害しないためには、対象となる知的財産の権利者が誰なのかをしっかりと把握したうえで、特許技術などを利用するための適正なライセンス契約を結ぶことが大切。そして権利を侵害させないためには、特許の出願や商標の登録を適切に行うことはもちろん、特許技術を無断で利用されるなどの権利侵害があった場合はスピーディーに対応することが大切です。

とはいえ、知的財産を巡るトラブルになってしまったら…。他者の権利を侵害してしまった、あるいは自分の権利が侵害された場合には、どのような罰則や対策が考えられるのでしょうか?

知的財産を巡るトラブルになってしまったら

権利の侵害にはどんな対策や罰則がある?

特許出願している技術が勝手に使用されたり、商標登録しているデザインや著作物が盗用されたり…。特許権や商標権、著作権などのいわゆる知的財産権に対して権利侵害があった場合、権利を保有する側からは「差止請求」「損害賠償請求・不当利益返還請求」をその侵害者に対して行うことができます。また、権利を侵害する側になってしまった場合には、「刑事上の責任」を負う可能性も生じます。そうした権利侵害への対応や罰則について、それぞれに以下で詳しく見ていきましょう。

①差止請求

ある著作物に対しての侵害が行われると、対象の知的財産権の権利者には、これを使用できないように差し止めることがでる「差止請求権」が発生します。これを用いて、第三者が勝手に自分の知的財産を利用することを防ぎ、保護します。

②損害賠償請求・不当利得返還請求

他者の知的財産を勝手に使用することで、権利者が本来得るべきだった利益を奪ってしまい、損害が生じた場合には、「損害賠償請求権・不当利得返還請求権」が発生します。前者の「損害賠償請求権」とは、故意や過失による権利侵害によって生じた損害に対して、賠償請求を行うことができる権利です。この権利は、自分に損害が生じることを認識してから3年で時効となります。一方の「不当利益返還請求権」は、権利者の損失が生じることで利益を得た他者に対して、損失した分の返還を請求できる権利です。「不当利益返還請求権」は時効が10年と損害賠償請求権より長く、損害賠償請求がすでに時効を迎えた場合などに用いることができます。

ある著作物に対しての侵害が行われると、対象の知的財産権の権利者には、これを使用できないように差し止めることがでる「差止請求権」が発生します。これを用いて、第三者が勝手に自分の知的財産を利用することを防ぎ、保護します。

③刑事上の責任

特許法では、個人での特許権侵害では1000万円以下、法人の場合だと3億円以下、10年以下の懲役という重い刑事罰が科されることがあります。また、著作権法における著作権侵害者に対しては、10年以下の懲役か1000万円以下の罰金、またはその両方が科されると規定されています。

「これくらいならいいだろう」と軽い気持ちで他者の著作物を無断で使用したり、知的財産権という権利に対する理解や認識が曖昧なままビジネスを行っていると、「ついうっかり」ではすまない事態を招くこともあります。自分や自社の権利が侵害された場合はもちろんですが、他者の権利を不用意に侵害してしまわないためにも、知的財産を活用したビジネスを行う際には、できれば弁護士などの専門家と連携して適切な対応を心がけておきましょう。

権利侵害に対しては内容証明郵便が有効です

郵便局が内容を証明する、特殊な郵便

あなたの知的財産権が侵害されて、侵害をした人に対しての差止請求や損害賠償請求をする際には、こちらがどのような考えを持っているかを「内容証明郵便」で侵害した側に伝えることが第一に有効になります。内容証明郵便は、そのような場合に「誰が・いつ・どのような内容の郵便を・誰に対して送ったのか」を日本郵便株式会社が証明してくれるという特殊な郵便の種類です。

内容証明郵便を送ることで、権利侵害者に対して郵便物を送付した事実とその内容を証明し、さらに配達証明を加えることで、相手先に配達が完了したことの証明にもなります。問題が発展して訴訟になった場合も、相手方は「そんな内容の文書は受け取っていない」といった言い逃れができなくなるため、裁判でも重要な証拠となるのです。

内容証明郵便の書き方は?

内容証明郵便は、相手に送る書面(内容文書)に加えて、同じ内容の書面(謄本)を2通用意する必要があります。そのうち1通は差出人に返し、残りの1通は局が保管します。もし、受取人が複数いる場合は、受取人の数プラス2通が必要というわけです。

内容文書、謄本とも、用紙の大きさ、記載用具を問いません。市販の内容証明用紙以外の用紙を使わなくても構いませんし、コピーでも問題ありません。ただし、送付できるのは文書1通のみです。また、謄本には字数・行数の制限があります。そのため、内容文書も謄本のルールに従って記し、そのコピーを謄本にすることが多いです。

内容証明郵便について詳しくは下記のサイトでご確認ください。
参考:日本郵便WEBサイト「内容証明 ご利用の条件等」

内容証明郵便の書き方や出し方については、わかりにくい点があれば郵便局の窓口でも確認することができます。とはいえもちろん、何よりも大切なのは文書の内容です。こちらの言い分や要望などがしっかりと伝わるか、不備はないか、適切な文面になっているかなど、できれば弁護士などの専門家にチェックを受けたうえで、効果的に内容証明郵便を利用してください。

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