契約と法令の違いは?
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知っておきたい「契約自由の原則」
法律によらない契約もできる
「契約」も「法令」も、同じく法的な拘束力を持ちます。では、この2つは一体どう違うのでしょうか?
契約は法令に従って決めていくイメージがありますが、実は法令によらない自由な取り決めをするための約束です。そのことを「契約自由の原則」と呼びます。
とはいえ、「契約自由の原則」があるからといって、どのような契約でも成立するというわけではありません。法令には「強行法規」といって、契約よりも優先される規定があります。そのため、契約を結ぶためには、法的な知識も必要になってくるのです。
そこで、ここでは契約と法令との違いについてご紹介していきたいと思います。
法律、法令とは?
万人に適用されるルール
「法律」は、国が定めたルールです。そして、その法律に基づいて内閣が決める「政令」や、地方自治体が決める「条例」などがあります。こうしたものを引っくるめて「法令」と呼びます。法令は、国民や住民などの誰にでもあてはまるもの。つまり、私たちの誰にでも法で定められた権利や義務があるのです。
たとえば、信号無視をすれば誰もが道路交通法に違反したことになり、不法行為となります。あるいは交通事故を起こせば、事故でケガをさせてしまった相手から損害賠償を請求されることになります。
法令で決められたことには、強制的に従わなければならない義務や権利がある。つまり、法令は万人に通用するルールと言えるのです。
契約とは?
当事者間で決められた約束
一方の「契約」は、当事者間における約束のこと。いわば、契約に合意した相手と自分、あるいは取引先と自社だけに適用されるルールです。つまり、適用されるのが「万人」ではないというころが、法令との大きな違いです。
たとえば、契約を結んだ商品について、私たちには納品する義務、代金を受け取る権利が生まれます。これらは、法的なことですから従わなければなりませんが、同じ法的な義務や権利であっても、法令とは違い、契約は、約束をした当事者間だけにあてはまるルールとなるのです。
契約では、どの種類の商品をどのくらいの数量、いくらで、いつまでに購入するなどの内容や条件を取り決めますが、それを当事者間で自由に決めて合意することができるのです。
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基本的に法令よりも契約が優先される
当事者間でのオリジナルのルールづくり
前述のように、契約における内容や条件は、すべて当事者間で自由に決めることができます。これは「契約自由の原則」と呼ばれています。例えるとすれば、当事者間でオリジナルのルールを作るイメージでしょうか。これは、契約の大きな特徴でもあり、ビジネスにおける利点にもなるのです。
契約内容については、法令に従って決めなければならないイメージがありますが、例外はあるものの、多くの場合、契約内容は法令よりも優先されます。つまり、基本的に法令にある原則でなく、法令と異なる独自の約束を交わしたい時に取り決めるのが契約なのです。
たとえば、民法では、品物の売買時に商品の受け渡しと同時に代金を支払うことになっていますが、契約で「商品の納品後30日以内に代金を支払う」と決めていれば、その契約内容のほうが優先されます。このように、法令よりも契約が優先されることから、「当事者間でオリジナルのルールを作る」というイメージにつながるのです。
契約よりも優先される「強行法規」
契約が無効となるケースもある
とはいえ、すべての契約が優先されるわけではありません。例外もあります。それが「強行法規」といって、その法規に反した契約を取り決めても、契約が無効となってしまうというものです。
たとえば、法令には、労働基準法や借地借家法のように、労働者や借地・借家人など、弱い立場の人々を守るためのものが存在します。そうした法令に関することは、どんな契約を結んでも、契約よりも法令が優先されます。
契約の法的拘束力は内容次第
仮に、最低賃金よりも低い賃金を定めて、会社側がその立場を利用して有利な契約をしようとしても、労働基準法の規定を下回った契約となれば、それは違反となってしまうということです。契約の法的拘束力は、内容次第ということです。
法令について理解したうえでの契約を
法令違反の不安があるなら弁護士への相談がベスト
「強行法規」を含む法律には、労働基準法のほか、借地借家法、消費者契約法、下請法、特定商取引法などがあります。ビジネスで契約を結ぶ際には、こうした法令に違反しないように契約内容を決めていかなければなりません。
ポイントをきちんと押さえておけば問題ありませんが、こうした法令などについて詳しく知りたい場合や、契約について不安があれば、弁護士などの専門家に相談してみるのも一つの方法です。
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