独占禁止法に定められた「優越的地位の濫用」がポイント~下請法を解説~

優越的地位

下請法と独占禁止法の関係とは?

公正で自由な競争を守るための法律として、よく知られているのが「独占禁止法」(正式名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)です。

下請法は、この独占禁止法を補助するために制定された法律です。親事業者と下請事業者が取引する場合、まずは下請法の規定が適用され、下請法が適用されない行為については、独占禁止法が適用されることになります。

「優越的地位の濫用」とは

独占禁止法で不正な取引方法として挙げられているのが「優越的地位の濫用」です。これは、自分の会社が取引先の会社より強い立場(優越的地位)であることを利用して、不当な要求を行い、取引先に不利益を与える行為を指します。

優越的地位であるかどうかは、「取引先の依存度」や「取引先の変更は可能性か?」などを総合的に考慮して判断されます。ですから、大企業と中小企業との取引に限らず、大企業同士、中小企業同士であっても、一方の優越的地位が認められるケースもあります。

「優越的地位の濫用」になり得る行為

公正取引委員会は、「優越的地位の濫用」についての考え方をまとめたガイドラインの中で、以下の11項目を「優越的地位の濫用になり得る行為」としてあげています。

1.購入・利用の強制

今後の取引に影響を与えることを匂わせ、事業遂行上必要でない商品を購入させること。

〈例〉小売店が納入業者に対して、「今後も取引を続けたい場合は、この商品を購入するように」などと強制する。

2.協賛金等の負担の要請

合理的であると認められる範囲を超えた協賛金などを負担させること。

〈例〉小売店が納入業者に対して直接関係のない催事や広告の費用を請求したり、自社の新規オープンに対する協賛金を要求する。

3.従業員等の派遣の要請

取引相手に対し、派遣費用を負担することなく自己の利益にしかならない行為を要請し、従業員などを派遣させること。

〈例〉セール時期に人出が足りないからといって、納品業者に別の会社の商品を陳列させたり、接客させたりする。

4.その他経済上の利益の提供の要請

正当な理由がないのに、当初の発注内容に含まれていないものを要求すること。

〈例〉金型を製造するメーカーに設計図面も無償で提供させたり、自己が保管しなければならない部品などを相手に無償で保管させたりする。

5.受領拒否

商品の購入を契約した後、正当な理由がないのに受領を拒否すること。

〈例〉顧客からの注文がキャンセルになった、まだ前回納入した分の在庫が残っている、などという一方的な都合で商品の受け取りを拒否する。

6.返品

正当な理由がないのに、受領した商品を返品すること。

〈例〉仕入れたものの売れ残ってしまった、展示商品にしたため汚れてしまった、といった理由で返品する。

7.支払遅延

正当な理由がないのに、契約で定められた期日に支払を行わないこと。

〈例〉社内の手続きの遅延や、下請事業者からの請求書が発行されないからといって支払の期日を遅らせる。

8.減額

商品を購入した後、理由なく契約で定めた対価を減額すること。

〈例〉商品を受け取った後、業績が悪化した、予算が不足してしまったなど、一方的な都合で対価の減額する。

9.取引の対価の一方的な決定

取引相手に対し、一方的に著しく低い対価で取引を要請すること。

〈例〉特売セールを行うために、ある商品をいつも仕入れている価格よりも低い額で納入するよう要求する。

10.やり直しの要請

取引先から商品を受け取った後、正当な理由なく何度もやり直しを要請すること。

〈例〉自社の都合で方針を変更したにも関わらず、何度も無償でデザインを変更させる。

11.その他

上記に該当しない場合でも、正常な商習慣に照らし合わせて、不当に利益を与えると判断されること。

〈例〉初めての取引だからといって、著しく高額な保証金を支払わせる。
   フランチャイズの店舗に対して、見切り販売を禁止する。

独占禁止法より効果的に下請事業者を守る「下請法」

独占禁止法の「優越的地位の濫用」の規定は、自由で公正な取引を守ってくれるものです。しかし、条件や規定に抽象的なものが多く、その会社が本当に「優越的地位」にあるのか、その行為が「濫用」と言えるものか、などを個別に判断にする必要があり、結論が出るまでに時間が掛かってしまいます。

違反行為に対して迅速に対応できるのがメリット

「優越的地位の濫用」は下請取引で起こることが多く、小さな下請事業者などは、その判断を待つ間に経営が悪化することもあるでしょう。そこで下請取引に特化し、適用対象をより明確にしたのが「下請法」です。

下請法では、支払遅延や減額、返品、買いたたきなどの行為について、違反となる事例がより具体的に決められており、違反行為に対し迅速に対応できるようになっています。

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